# 76 : 犬の尿管切開術 / 【人では激痛の尿管結石】
尿管は腎臓で作られた尿を膀胱に運ぶための管です。尿管結石とはその管の途中に存在する結石の事です。
今回の症例は12歳のペキニーズです。頻尿を主訴に来院されました。
エコー検査とレントゲン検査で膀胱に多数の結石を認めました。また左の尿管に直径6mm程の尿管結石(黄丸)も存在し、近位尿管(赤矢印)の拡張も認められました。
膀胱結石摘出手術と同時に尿管切開を行い、尿管結石も摘出させて頂く事になりました。
尿管切開術(+ 膀胱切開術)
今回の尿管結石は左腎臓の近くに存在していました。その場所の尿管は脂肪の中に存在しているので丁寧に脂肪を剥離して尿管を露出していきます。
今回は大きな尿管結石だったため、尿管から結石(黒矢印先)が透けて目視する事ができています。
結石の直上の尿管を切開すると、尿管の中から結石(黒丸)が出てきました。
結石を除去したあとは切開した尿管を人の髪の毛程の細い糸で丁寧に縫合して今回の尿管結石の手術は終了としました。(尿管結石の摘出後に膀胱切開を行い膀胱結石も全て摘出しました。)
術後は血尿・頻尿はなくなり、手術を行った尿管が閉塞する事なく無事に退院してくれました。
まとめ
人では激痛と言われている尿管結石ですが、ワンちゃんでは無症状の事もあります。
腎臓は左右で1対(2個)あるので、片方の尿管が閉塞しただけでは目立った症状が現れない事があります。
しかし両側の尿管閉塞や、機能してない腎臓の反対側の尿管が閉塞した場合では緊急的で大変危険な状態です。
片側の尿管閉塞ではなかなかこれといった症状が出ませんが、血尿・元気消失・腹部の痛み・食欲低下などが認められたらかかりつけの動物病院を受診して下さい。
獣医師:林 敬明
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