林動物病院

〒411-0816 静岡県三島市梅名97-5

# 107 : 犬の胆嚢摘出手術 / 【胆嚢管まで粘液が及んだ胆嚢粘液嚢腫】

12歳のポメラニアンが「朝から急に元気・食欲がなく、頻回に嘔吐している」とのことで当院を受診されました。

前日まで大きな異常はなく、急激な体調変化であったため、重篤な疾患の可能性も考え、速やかに検査を実施しました。

腹部超音波検査にて以下の所見を認めました。

  • 胆嚢内にゼリー状内容物が充満
  • 典型的な胆嚢粘液嚢腫所見(黄丸)
  • 腹水の貯留を認めました。

胆嚢粘液嚢腫は胆汁がゼリー状に固まり胆嚢内に充満する疾患です。

進行すると

  • 胆嚢破裂
  • 胆汁性腹膜炎
  • 急激な全身状態悪化

を引き起こす可能性のある緊急性の高い外科疾患です。

本症例では腹水も認められたため、早期外科対応が必要と判断し、緊急手術を実施しました。

胆嚢摘出手術

全身麻酔下にて胆嚢摘出術を実施しました。

胆嚢は粘液により高度に腫大していました。さらに、胆嚢摘出後に胆嚢管を確認したところ、内部にも粘液物質が充満(黄丸)し、管腔が閉塞している状態が認められました。

本症例では、胆嚢内だけでなく胆嚢管にまで粘液が及んでおり、胆道閉塞へ進行するリスクが高い状態であったと考えられます。そのため、胆嚢摘出後に胆嚢管から総胆管にかけて十分な洗浄を行い、粘液物質および胆泥を丁寧に除去しました。あわせて胆道の通過性を慎重に確認し、閉塞がないことを確認したうえで手術を終了しています。

摘出した胆嚢です。

術後は速やかに回復し、食欲・元気ともに改善し、合併症も認めませんでした。

数日後には無事退院し、現在も安定した生活を送っています。

まとめ

胆嚢粘液嚢腫は、初期には目立った症状がないことも多い一方、ある日突然、急激に状態が悪化することがあります。

本症例のように、胆嚢摘出に加え胆道の閉塞解除や通過確認まで丁寧に行うことが、術後の安定した回復につながります。

当院では胆嚢疾患に対する外科手術を多数実施しており、緊急症例や他院様からの紹介症例にも対応しています。

急な元気・食欲低下や、健診で胆嚢異常を指摘された場合には、早めの精査と適切な外科判断が重要です。

今後も安全性と確実性を重視した胆道外科を提供していきます。

 

獣医師:林 敬明

この内容は2026年2月時点の情報です