林動物病院

〒411-0816 静岡県三島市梅名97-5

# 109 : 犬の胆嚢摘出手術+右副腎摘出手術 / 【胆嚢粘液腫と急速に増大した右副腎腫瘍】

今回の症例は12歳のトイプードルです。
本症例は以前より胆泥症に対して利胆剤による内服治療を継続しており、あわせて右副腎の腫大も認めていました。

経過観察中、胆嚢の状態が悪化し、胆嚢粘液腫と診断されたため、外科的治療を行う方針となりました。

手術当日、最終確認として飼い主様とともに腹部エコー検査を実施したところ、胆嚢は典型的な胆嚢粘液腫の所見を呈していました。さらに、以前から認めていた右副腎は前回検査時と比較して明らかな増大が確認されました。

進行性の変化と判断したため、胆嚢摘出術と右副腎摘出術を同時に実施する事にしました。

胆嚢摘出術+右副腎摘出術

まず胆嚢摘出術を行いました。
胆嚢から胆嚢漿膜を慎重に剥離していきます。

摘出後は、胆嚢管から総胆管にかけて洗浄を行い、通過性に問題がないことを確認しました。

続いて右副腎(黄丸)へアプローチしました。

周囲の血管構造に注意しながら剥離を進め、右副腎(黄矢印)を摘出していきます。

摘出後は出血のコントロールを確認し、問題ないことを確認しました。

摘出した胆嚢と副腎です

病理検査の結果、右副腎は副腎腺癌と診断されました。

術後経過として、右副腎摘出後、一時的に左副腎からのステロイドホルモンの分泌が不十分となったため、ステロイドの内服を行いました。その後の経過として、術後約6ヶ月の時点で左副腎からのコルチゾール分泌が確認され、現在は副腎機能の回復が認められています。全体として経過は良好で、安定した状態です。

まとめ

胆嚢粘液腫に加え、右副腎腫大の急速な進行を認めたため、同時外科手術を選択した症例でした。

副腎摘出後には一時的に副腎機能低下を認め、ステロイド補充を必要としましたが、術後約6ヶ月で内因性コルチゾール分泌の回復が確認されています。

複数の病変が併発している症例では、病態の変化を適切に評価し、治療方針を柔軟に判断することが重要と考えています。

 

獣医師:林 敬明

本内容は2026年4月時点の情報です