林動物病院

〒411-0816 静岡県三島市梅名97-5

# 115 : 左下顎切除術 / 【口腔内悪性黒色腫(メラノーマ)に対する外科的治療】

今回は、14歳のヨークシャー・テリアに行った左下顎切除術をご紹介します。

1週間ほど前からよだれが多くなり、ご飯が食べにくそうになったとのことで来院されました。

口の中を確認すると、左下顎に黒色の腫瘍が認められました。

【手術直前の口腔内の状態】

写真は手術直前に撮影したものです。左下顎の歯肉に黒色の腫瘍が認められます。

腫瘍の発生部位や状態から、左下顎の広範囲な切除が必要と判断し、手術を行いました。

 

3/4下顎骨切除

今回の手術では、左下顎骨の切歯(前歯)より後方をすべて切除しました。左側の犬歯や奥歯が生えている部分を含め、下顎の骨を大きく取り除く手術です。

下顎には太い血管や神経が走行しているため、手術中はこれらの損傷や出血に注意する必要があります。特に下顎骨の内部を通る下歯槽動脈は重要な血管であり、慎重に処理しながら切除を進めました。

【手術中の下歯槽動脈(黄丸)の処理】

 

腫瘍を含む左下顎骨を切除した後、残った組織を丁寧に縫合して手術を終了しました。

【手術後の状態】

摘出した腫瘍を病理検査に提出したところ、悪性黒色腫(メラノーマ)と診断されました。

悪性黒色腫は、周囲の組織に広がりやすく、リンパ節や肺などに転移する可能性もある悪性腫瘍です。

そのため、現在は抗がん剤による治療も行っていますが、術後の経過は良好で、元気に過ごしてくれています。

まとめ

口腔内の腫瘍は、普段なかなか気づきにくい場所に発生します。

今回のように、よだれが増える、口臭が強くなる、口から出血する、ご飯が食べにくそうになるといった症状がきっかけで発見されることもあります。

悪性黒色腫は進行が速い場合もあり、早期発見と適切な治療が大切です。

当院では、今回のような下顎切除を伴う口腔内腫瘍に対しても、できる限り安全で確実な手術を心がけています。

 

獣医師:林 敬明

本内容は2026年10月時点の情報です