林動物病院

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# 34 : オス猫の恥骨前尿道造瘻術 / 【尿道閉塞の最後の砦!?】

オス猫は様々な理由で尿道閉塞を起こして、尿が出なくなる事があります。

原因は結石・結晶が固まった尿道栓子・膿・血餅・腫瘍・炎症などです。

オス猫の尿道閉塞に対して内科治療でコントロール出来ない場合に、外科手術を行う事があります。

外科手術は『会陰尿道造瘻術』が一般的に行われます。この術式は簡単に言うと結石などが詰まりやすい細い尿道部位のペニスを切除し、メス猫のような尿道を作る手術です。

しかし骨盤腔内の尿道の問題ではこの術式では対応できません。

その場合は、お腹の皮膚に尿道を開通させる『恥骨前尿道造瘻術』が必要になります。

 

恥骨前尿道造瘻術

まず腹部を正中で切開していきます。

膀胱(黒矢印)から出る尿道は脂肪の中に埋もれているので、丁寧に脂肪を剥離していきます。

骨盤腔にある尿道も、牽引してなるべく長く確保します。

尿道(白矢印)をなるべく長く確保してから切った写真です。

次に尿道を乳房があった位置から出します(黄緑矢印)

尿道の開口部が狭窄しないように特殊な形成術で皮膚と尿道を縫合していきます。

術後10日後の写真です。綺麗な傷口です。

手術をして3年が経過した写真です。黄色の丸の中が尿道の開口部です。

この手術の後は尿が毛につくので、衛生状態を保つために定期的に毛刈りをさせて頂いています。

飼い主さんは術後も規則正しく来院されているので、皮膚炎は無く、術後3年たった今でも綺麗な状態です。

問題だった排尿もスムーズに出来ています。

 

まとめ

今回の恥骨前尿道造瘻術は尿が出ない場合の最終手段の手術になります。

尿道閉塞の原因として、結石や結晶がありますが、これらは食事を変更するだけで解決する場合があります。

食事を変えるだけで手術を回避できる事もあるので、愛猫の膀胱結石を早期に発見する事がとても重要になります。

膀胱結石の症状として『血尿』・『頻尿』・『排尿時の疼痛』などがあります。

症状以外では、『尿にキラキラした砂状のものが混じっている』場合も膀胱内に結石や結晶があるかもしれません。

上記のいずれかの症状がある場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

また膀胱に結石があると、腹部をなめる猫ちゃんもいます。舐めてお腹の皮膚が脱毛しているので皮膚病だと思っていたら、原因は膀胱結石だった。なんて事もあるので注意が必要です。

日頃から愛猫をよく観察してあげて下さい。

 

 

 

 

獣医師:林 敬明