# 38 : 犬の総胆管結石摘出術 / 【胆嚢摘出手術】+【胃切開】
今回は胆嚢切除を行って総胆管結石を摘出した症例です。
血液検査は肝臓・胆道系・黄疸・炎症マーカーがかなりの高値でした。
エコー検査では“胆のうから出ている管”と“肝臓から出ている肝管”が合流した「総胆管」に、約1cmの大きな胆石(黄矢印)が詰まっていました。
腹部のレントゲン検査でも総胆管結石(赤丸)が認められます。
術前の検査で下のイラストの赤丸の部位に胆石があることがわかりました。この部位の胆石を取る術式は数種類あるので、実際に手術を進めながら術式を決定していきます。
総胆管結石摘出手術
開腹してみると、肉眼でも総胆管内に大きな結石(水色丸)がわかります。
用手で総胆管内の結石が動く事が確認できたため、逆路で胆嚢管から摘出する事としました。
見にくいですが、黄色丸の中に写っているのが、胆嚢管から出てきた胆石です。
また、この症例は誤食癖があり、術前検査のレントゲン検査で胃内に沢山の異物(ピンク丸)を認めたため、今回は同時に胃切開を行い、胃内異物の摘出を行いました。※ 水色矢印はマイクロチップです。
胃切開で出てきた異物です。
多数のストロー・針金・毛糸の塊などが出てきました。
こちらは摘出した胆嚢(右)と胆石(左)です。
今回の問題となった1cm以上の胆石です。この胆石が総胆管を閉塞していました。
まとめ
胆石は初期段階ではほとんどが無症状です。しかし、胆嚢に炎症を起こしたり、胆嚢管や総胆管に詰まると発熱や黄疸、嘔吐、食欲不振などの症状がでて、最悪は死んでしまう可能性があります。
内科治療で胆石を溶解する事は困難ですので、胆石により閉塞を起こしている場合は外科手術が必要な場合があります。
何らかの臨床症状がある場合は、かかりつけの動物病院を受診して下さい。
獣医師:林 敬明
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