# 41 : 猫の口腔内腫瘍切除術 / 【急に腫大した口の中の良性腫瘍】
今回の症例は歯茎が急に腫れたとの事で来院された猫ちゃんです。
タイトルにあるように、結果は口腔内にできた良性の腫瘍でしたが、通常、猫の口の中にできる腫瘍の大多数は悪性腫瘍です。
良性腫瘍でも、今回の症例は腫瘍が大きくなる速度は早く、流涎や口臭などの症状も認められました。
口腔内の腫瘍(黄丸)の写真です。
下から覗くように見てみると歯も巻き込むように腫瘍が存在しています。
口腔内腫瘍切除術
可能な限り広く歯肉を切開し、上顎骨から腫瘍を剥がしていきます。また腫瘍に巻き込まれている歯も抜歯を行っていきます。
腫瘍の全周を剥離した写真が下になります。腫瘍は上顎骨の中にも浸潤(水色矢印)していました。
そのため、上顎に入り込んでいる腫瘍は可能な限り掻把して除去をした後、整形外科の器具を使って歯槽骨を削りました。
今回の口腔内の手術は、軟部外科・口腔外科・整形外科の器具・形成外科を合わせた手技となります。
また、同時に残っている歯はスケーリング処置を施しました。
術後の写真です。外観が反対側の正常と変わらないように心掛けて口の中の粘膜を縫合します。
病理検査の結果は良性の周辺性歯原性線維腫(従来の骨形成性エプリス)でした。
この腫瘍は良性でもしっかり切除できていないと再発する可能性があります。
まとめ
今回の口腔内にできた腫瘍は良性でしたが、猫の口の中にできる腫瘍の約70~80%は扁平上皮癌といわれています。扁平上皮癌は組織への広がりがとても早い厄介な癌です。
猫ちゃんが「口を気にする」「よだれが多い」「よだれに血が混ざる」「固いドライフードを嫌がる」などの症状がある場合は、口腔内腫瘍に限らず、口の中になんらかのトラブルがある場合があります。かかりつけの動物病院を受診して下さい。
獣医師:林 敬明
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