# 5 : 猫の脾臓全摘出術 / 【脾臓の腫瘍】組織球肉腫
【脾臓の摘出】
脾臓という臓器は胃の尾側にあります。
脾臓の働き:①免疫の調整 ②血液の再生 ③血液の貯蔵 ④造血などの大切な役割を担っています。
そんな脾臓を取っても大丈夫?と思う方も多いですが、結論から言うと脾臓の摘出を行ってもほとんどの場合は問題なく生活できます。
今回は猫(6歳の避妊済みの雑種)の脾臓にできた腫瘍の話です。
1か月前から徐々に食欲が落ちて、最近は元気もないとのことで来院されました。
血液検査では中等度の貧血と血小板の減少があり、エコー検査を行ったところ、脾臓に腫瘤(赤丸)が認められました。
飼い主さんと話し合った結果、外科手術で脾臓の全摘出手術を行う事になりました。
脾臓の摘出手術
開腹すると、異常な脾臓(黄色枠内)が目視されます。
脾臓を体外に出して確認します。正常な脾臓の表面は滑らかですが、今回の脾臓は表面がボコボコと凹凸があり明らかに異常です。
超音波エネルギーデバイスを使用して脾臓を摘出していきます。一般の脾臓の摘出手術に比べ格段に速く、そして安全に摘出できます。
猫の脾臓は膵臓の左葉がすぐ近くに並走するため慎重に扱わなくてはいけません。
摘出した脾臓です。
病理検査の結果、悪性腫瘍の組織球肉腫でした。
猫では珍しい腫瘍で、症例数と治験例が少ないのが現状です。
現時点で有効な治療法は報告されていませんが、ロムスチンという抗がん剤が使用される事が多いです。
まとめ
脾臓にできる癌は進行が速いことが多く、症状が出ている場合では、かなり進行していることがあります。
早期発見のためにも定期的な検査(動物ドック)等が勧められます。
獣医師:林 敬明
カテゴリ
- 外科 (86)
- 軟部外科 (60)
- 整形外科 (26)
- 胸部外科 (4)
- 歯科口腔外科 (7)
- 耳科手術 (1)
- 呼吸器外科 (6)
- 消化器外科 (10)
- 泌尿器外科 (6)
- 肝臓・胆嚢・脾臓外科 (12)
- 内分泌外科 (1)
- 生殖器外科 (11)
- 眼科手術 (6)
- ヘルニア整復手術 (6)
- 腫瘍摘出手術 (19)
- 内視鏡 (3)
- 内科 (2)
- その他 (1)
アーカイブ
- 2024年11月 (3)
- 2024年10月 (3)
- 2024年9月 (3)
- 2024年8月 (3)
- 2024年7月 (3)
- 2024年6月 (3)
- 2024年5月 (3)
- 2024年4月 (3)
- 2024年3月 (3)
- 2024年2月 (3)
- 2024年1月 (3)
- 2023年12月 (2)
- 2023年11月 (2)
- 2023年10月 (2)
- 2023年9月 (3)
- 2023年8月 (2)
- 2023年7月 (2)
- 2023年6月 (2)
- 2023年5月 (3)
- 2023年4月 (2)
- 2023年3月 (2)
- 2023年2月 (2)
- 2023年1月 (1)
- 2022年12月 (1)
- 2022年11月 (1)
- 2022年10月 (1)
- 2022年9月 (1)
- 2022年8月 (1)
- 2022年7月 (2)
- 2022年6月 (1)
- 2022年5月 (1)
- 2022年4月 (2)
- 2022年3月 (1)
- 2022年2月 (2)
- 2022年1月 (3)
- 2021年12月 (1)
- 2021年11月 (2)
- 2021年10月 (1)
- 2021年9月 (1)
- 2021年8月 (1)
- 2021年7月 (2)
- 2021年6月 (2)
- 2021年5月 (1)
- 2021年4月 (1)
- 2021年3月 (2)