# 54 : 犬の内視鏡下での食道内異物除去 / 【食道に詰まったサツマイモ】
愛犬が幸せそうにオヤツを食べてくれると飼い主さんも嬉しくなりますよね。しかしそんなオヤツも注意が必要かもしれません。
今回は小型犬がサツマイモを食べた直後から、嘔吐を繰り返し、かかりつけ病院で食道内異物が疑われたため、内視鏡がある当院に紹介された症例です。
レントゲン検査を行うとやはり食道内異物(ピンク丸)を疑う陰影が認められました。
バリウム検査では、バリウムが食道内異物(黄緑色)より先に流れていきません。
血液検査では急性炎症のCRPが18以上(正常は1以下)と、かなりの高値でした。
すぐに麻酔をかけて処置にとりかかりました。
内視鏡処置
内視鏡で食道内を調べてみると、サツマイモが食道内にはまりこんでいます。
サツマイモを胃に落とそうとしたのですが、ガッチリと食道にはまっていて全く動きません。
特殊な鉗子でサツマイモを掴んで手前に引っ張ってみましたが、くずけてしまったため、サツマイモの全周を鉗子でちぎっていく事にしました。地道な作業です。
なんとか無事にサツマイモを胃の中に落とす事が出来ました。しかしサツマイモがはまっていた食道は強い炎症と潰瘍を起こしていました。この部位は今後、狭窄を起こす可能性があるので治療が必要です。
この処置から1週間後の血液検査では18以上あったCRPが正常値に戻り、体調も安定していました。
まとめ
犬は飲み込めない大きさの犬用オヤツ(ジャーキーやガム)・骨・野菜や果実類などを誤飲してしまう事があります。
異物が原因で窒息・食道潰瘍などを起こす事があり、食道穿孔などの併発疾患を起こすと致死的な経過を辿ることもあります。
食道内異物のほとんどは身近にある食べ物や犬用オヤツですので、今一度与えているオヤツなどを見直してみて下さい。
獣医師:林 敬明
カテゴリ
- 外科 (83)
- 軟部外科 (58)
- 整形外科 (25)
- 胸部外科 (4)
- 歯科口腔外科 (6)
- 耳科手術 (1)
- 呼吸器外科 (6)
- 消化器外科 (10)
- 泌尿器外科 (6)
- 肝臓・胆嚢・脾臓外科 (12)
- 内分泌外科 (1)
- 生殖器外科 (11)
- 眼科手術 (5)
- ヘルニア整復手術 (6)
- 腫瘍摘出手術 (19)
- 内視鏡 (3)
- 内科 (2)
- その他 (1)
アーカイブ
- 2024年10月 (3)
- 2024年9月 (3)
- 2024年8月 (3)
- 2024年7月 (3)
- 2024年6月 (3)
- 2024年5月 (3)
- 2024年4月 (3)
- 2024年3月 (3)
- 2024年2月 (3)
- 2024年1月 (3)
- 2023年12月 (2)
- 2023年11月 (2)
- 2023年10月 (2)
- 2023年9月 (3)
- 2023年8月 (2)
- 2023年7月 (2)
- 2023年6月 (2)
- 2023年5月 (3)
- 2023年4月 (2)
- 2023年3月 (2)
- 2023年2月 (2)
- 2023年1月 (1)
- 2022年12月 (1)
- 2022年11月 (1)
- 2022年10月 (1)
- 2022年9月 (1)
- 2022年8月 (1)
- 2022年7月 (2)
- 2022年6月 (1)
- 2022年5月 (1)
- 2022年4月 (2)
- 2022年3月 (1)
- 2022年2月 (2)
- 2022年1月 (3)
- 2021年12月 (1)
- 2021年11月 (2)
- 2021年10月 (1)
- 2021年9月 (1)
- 2021年8月 (1)
- 2021年7月 (2)
- 2021年6月 (2)
- 2021年5月 (1)
- 2021年4月 (1)
- 2021年3月 (2)