# 69 : 猫の膵臓摘出術 / 【膵臓外分泌腺癌】
膵臓の働きは、食べ物を分解する消化酵素を作る外分泌機能と、血糖値を下げるインスリンなどのホルモンを作る内分泌機能があります。
今回の症例は17歳の猫ちゃんです。主訴は食欲不振と元気消失でした。
血液検査は問題ありませんでしたが、腹部のエコー検査で左側腹腔内に可動性で低エコーを示す腫瘤(黄緑丸)を認めました。
腫瘤部位に針生検を実施し細胞診の検査を依頼したところ、結果は『変性壊死および化膿性炎症』でした。下地に腫瘍が存在している可能性があるため、開腹下で腫瘤の切除を行う事にしました。
膵臓部分切除術
開腹すると、膵左葉の先端に腫瘤(黄丸)が確認できました。
脾臓(青矢印)から出ている太い血管と隣接しているので、腫瘤(黄丸)を慎重に剥離していきます。
膵臓(黒矢印)の正常と思われる組織ごと腫瘤を切除しました。
まとめ
腫瘤の病理検査の結果は猫では稀な膵臓の外分泌腺癌でした。腫瘍は切除されていましたが、膵臓の外分泌腺癌は肝臓・リンパ節・肺などに転移しやすい癌です。また抗がん剤が効きにくい腫瘍の1つでもあります。術後から食欲があり、現在は内科治療で良好な状態を保っていますが、今後の経過に注意が必要だと思います。
獣医師:林 敬明
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