# 71 : 小腸腫瘍摘出手術 / 【小腸の巨大なリンパ腫】
今回の症例は10歳のボーダーコリーです。主訴は食欲不振・嘔吐・黒色便でした。
血液検査では重度の貧血、CRP(急性炎症マーカー)の高値、またDIC(播種性血管内凝固症候群)も起こしている状態でした。
腹部のエコー検査では腹腔内に巨大な腫瘤(黄丸)を認めました。
即座に内科治療を開始し、その後外科手術をさせて頂く事になりました。
小腸腫瘍摘出手術
開腹をして、周りとの癒着を剥がした後の小腸腫瘍(黄丸)の肉眼所見です。
今回の腫瘍を摘出するにあたり、脾臓の尾側領域に血液を供給している血管を一緒に摘出しなくてはいけない状態だったため、脾臓の部分切除も同時に行いました。
病理検査は高悪性度のリンパ腫でした。
今回の症例は、抗がん剤治療を開始する2日前から頻回の痙攣発作を起こしていました。しかし抗がん剤治療を開始してからは発作が治まったため、中枢神経のリンパ節にもリンパ腫の転移があると思われます。
抗がん剤治療後、順調な経過をたどっていましたが、強い神経痛の症状が出たので、抗がん剤の種類を変更したところ、痛みはすぐに落ち着いてくれました。現在は食欲旺盛で、元気も出て飼い主さんに遊びの要求が凄いそうです。この良い状況が少しでも長く続く事を期待して治療をしていきたいと思っています。
獣医師:林 敬明
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