# 87 : 犬の水晶体摘出手術 / 【水晶体脱臼】
水晶体(赤丸)の働きはカメラのレンズのように、目に入る光を屈折させて焦点を合わせる役割を担っています。
水晶体は、チン小帯という線維組織によって固定されています。しかし、チン小帯が断裂すると水晶体が脱臼することがあります。
水晶体脱臼には【前方脱臼(黄矢印)】と【後方脱臼(黒矢印)】があります。後方脱臼と比較して、前方脱臼は痛みが強く、ぶどう膜炎や緑内障などの疾患を併発することがあります。
治療には内科的治療と外科的治療があります。内科的治療は痛みや合併症を抑えるためのもので、根本的な治療は外科手術による水晶体の摘出です。
水晶体摘出手術(2症例)
9歳のミニチュアダックスフンドです。前方脱臼と後方脱臼の両方を起こしていました。写真は、水晶体が後方脱臼(赤矢印下部)している状態を示しています。内科的治療で痛みを抑えられなかったため、水晶体を摘出する手術を行いました。
角膜切開部から水晶体を摘出している瞬間です。
摘出した水量体です。
次の症例は15歳のヨークシャーテリアです。この犬も前方脱臼と後方脱臼の両方が認められました。緑内障を併発し、目をこする行為によって角膜炎も起こしていました。
水晶体を摘出した時の写真です。
髪の毛の半分程の細い糸で縫合します。
まとめ
飼い主の皆さんは、愛犬が目を細める仕草や目を気にしている様子がないか、また物にぶつかることがないか注意深く観察してください。気になる場合は、動物病院を受診してください。
獣医師:林 敬明
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